

ジャガード刺繍機で刺繍を縫い付ける前後にハンドル刺繍で加工をするなど2種類以上の加工をほどこしたのが複合刺繍です。
例えば代表的なものには、サガラ刺繍やプリーツなどがあります。素材との相性を考えながら多彩な技術を組み合わせて仕上げるので、複雑な刺繍をするときに適しています。
サガラ刺繍は「相良刺繍」とも書き、モスステッチという呼び方もあります。パイル状に埋められたボリューム感のある刺繍です。この立体的でボリューム感ある刺繍により、手触りがふんわりしたものとなります。
ハンドルミシン主にスタジアムジャンパーのワッペン等で使われているので、ご覧になっている方も多いでしょう。糸や生地によって表情が変わるので、その選び方に職人のセンスが問われます。
生地を折り曲げ、 プレスを使い高温で熱することでヒダなどの折り目をつける加工をプリーツといいますが、また生地の折り曲げに直線や模様などの刺繍柄を用いるものを特に刺繍プリーツと呼ぶこともあります。ワンピースやスカートなどによく用いられ、繊細な刺繍が施されています。







ジャガードは、パンチングカード制御によって動く織機の総称。発明者の Jacquard の名前からつけられました。
初期のジャガード刺繍は穴の開いた紋紙を針で読み取り、経糸を上下させ反物を作る織機の仕組みと同じ原理を用いていました。現在のジャガード刺繍は、コンピューター上で描かれた図案を、そのまま刺繍データにすることが可能です。
ただし、自動的に入力されたデータにはまだまだ限界があり、「パンチャー」と呼ばれる刺繍データ専門の職人がより美しい縫い目を出すために経験と勘を活かして一針一針データを入力しています。
余談ですが、このジャガードの原理が「ON・OFF」作用に応用されてコンピューターが出来たそうです。
ハンド刺繍の各種ステッチをコンピューター刺繍で再現したのがジャガードステッチです。直線やクロス、 手刺繍風のステッチ、 サテンステッチ等アイデア次第でバリエーション豊かな刺繍ができます。
そもそもステッチという言葉が針目や縫い方を指しているように、針目や糸目の美しさが際立っている技法です。
太めの針で穴を開けながら周りをステッチでかがっていき、空洞を活かした美しい柄が仕上がります。
ジャガード刺繍機に特別なメスを取り付けて布地に切れ目をつけ、 その切れ目を外側へ引くように刺繍でかがっていくやり方のほか、最近ではメスの代わりにレーザーを用いてカットし、その上で刺繍をしていくやり方もあります。
生地に針で小さな穴を開けて、四方からかがっていく技法です。コンピューターで精密な模様を描くのに適しているのがドロンワークです。
ジャガードの刺繍機でアウトラインを縫いつけ、ハサミや熱コテで生地の一部を切り取って柄を作るのがカットワークです。
土台となる布地に上地となる布を刺繍糸で縫い付けたものをアップリケといいます。
ジャガードでアウトラインを縫いつけ、その上に別布を起き、サテン等で留め付けます。立体感を出しつつやわらかく仕上がるのがポイント。ベビー服やトレーナー等に多く使用されています。
フェルトや刺繍布等に刺繍を縫い込んだものをカットして、縫いつけたり接着したりして方法で取り付けたものをワッペン、あるいはエンブレムと呼んでいます。
ワッペンと服を一部分のみで縫い付けたものを「ワッペンのモチーフつかい」と言い、布地へワッペンを全て縫い付けたものをアップリケと呼びます。







ハンドルミシンだけがミシン刺繍を意味する欧米とは異なり、日本でいうところのミシン刺繍とは、横振りミシン、ハンドルミシン、特殊ミシンを使って刺繍を施すことをいいます。糸の調子をとるのに、慣れた職人でも数十分かかることが当然のように言われるほど、使いこなすにはかなり熟練の技術を必要とするものもあります。
しかし、それだけに複雑でおもしろみのある表現もできたりします。汎用ミシンや手縫いでは縫えない、 あるいは縫うことが難しくて時間を要する柄を、 それを専門とする特殊ミシンで素早くカンタンに縫うことができる特化されたミシンです。
刺繍の柄をきれいに描くときに用いられ、ミシン下のハンドルを操作して使います。ジャガード刺繍のサンプルとしても、多く使われています。
糸を寄り合わせてコード状にしたり、既成のテープを留めつけたり、肉厚素材凹凸感を出したいときに多く使われるほか、タオル地のようなふんわり感を出すときにも使われます。
またチェーンステッチという、チェーン状のステッチで柄を描いたり、チェーン金具を留め付けるときに使われるテクニックもあります。
一般的なステッチよりも「味がある」といわれ、とりわけエスニックな表現をする際には有効な技法なのです。
ステッチで埋めるミシン刺繍で最も多く使われているのが横振りミシン。それだけ刺繍に特化したミシンといえますが、単純な構造ゆえに広い応用範囲と完全な習得に数年を要するほどの職人の技術が要求されます。
ステッチのほか横振りでアウトラインを縫った後で内側をハサミや熱コテなどでカットする「カットワーク」、基布の上に他の素材をのせて横振のアウトラインによって埋めていく「アップリケ」などの技法が用いられます。ジャガード刺繍でもアップリケはできますが、ジャガードでは不可能な加工も横振りミシンなら可能なことが多くあります。
ミシン刺繍の中でも、使いみちに応じて専門的に特化されたミシンの総称です。スモック、ピコ、ピーコット、ピンポイント、ニードルパンチ、2本針、8の字、シジミ、ハマグリ等のミシンがあり、さまざまな用途に応じて使い分けられています。
フチかがり始末、飾り等のさりげない演出のなかにも、こだわりを引き立てせる刺繍がほどこせます。





